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京ことば


京ことばには、人をやさしくしてくれる独特のニュアンスがあります。生粋の京都人は実にまろやかに、ふわーっと(ふにゃーっと)話します。

私は無法松でおなじみの北九州市の出身で、威勢のよい話し方にどっぷりつかっていたため、大学で京都にきたときには「何がいいたいの、はっきりいってよ」「もっと早く、要点を先にいって」みたいなことを内心思ったものです。今では、おっとりしたこの環境にもスピードにも慣れました。

当初(1994.4.25)、このページは京ことばを少しまとめただけのものでしたが、 みなさまからの情報のおかげで、このようにボリュームアップしました。御礼申し上げます。内容につきましては、自称「京都native」にチェックしてもらっていますが、間違い、ご指摘などございましたら、下記アドレスまでメイルをお願いします。

(関係ないですが、歩く速度も京都の方はゆっくりしておられるように思います。)


言語に関する学術的なことは、GANET(Gakkai Network) の運営するサイトで、キーワードを入力し、学術研究団体を検索してみられるとご参考になると思います。(2000.8.5 追記)


INDEX

 

会話のいみ

会話
会話のいみ
帰りかけている客に、一言
「まぁ、お茶づけ(ぶぶづけ)でもいっぱいどうどす」
ここでお茶づけを本当に食べてしまうと、「やぼなお人やわ」と言われることになるわけです。 「早う帰ってや」という意味が含まれていることが多いそうです。
この言葉は有名になりすぎてますので、「いまどき、そんなん言う人なんか、おらしまへん。」とわたしの周りの根っからの京都の人は、ゆうてはります。
「まぁ、おあがりやしてお茶づけ(ぶぶづけ)でもいっぱいよばれておくれやす。」*11 ここでお茶づけを本当に食べてしまうと、次のように「あつかましいお人やわ」と言われることになるわけです。
「やぼなお人やわ」 いちいち説明しなくてもそれぐらいのこともわからないの。 本当に気のきかない人だわ。
「いやぁ、ほんまにあのひといけずやわぁ」 ほんとうにあの人は意地が悪い人だわ。
「きばっておくれやっしゃ」
「おきばりやすぅ *3」
頑張ってくださいね 。
「てんごいわはったら、あきまへんぇ」
冗談を言ったらだめですよ

「はばかりさん」「おおきに、はばかりさん *11」

ごくろうさん
*トイレのことではありません。(^^;
「おいといないとおもいますけど」「おいとはないとおもいますけど*11」
商売人がお客に対して「お金にはこだわらないと思いますけど」 のような意味で。
「よろしゅうおあがり」
「どうぞ、おあがりやす。*11」さらに丁寧な場合は「どうぞ、おあがり やしておくれやす。*11」
「ご馳走した人(もてなした人)」が「ご馳走された人(食べた人)」に対して言う言葉。

「いや、どこかおでかけ?」または「どこにいかはるの?」
へえ、ちょっとそこまで

道で知合いにあって、行き先をきかれたときに返すことば *2
ぜったいに「xxx へいく」と行き先をはっきりいわない。

(このやりとりは、京都人の挨拶、How are you? や How are you doing?のよう なものだそうです。*11)

「ちょっと行ってきます」
「おはよう、お帰り」
「いってらっしゃい」のかわりに、、、
「ちりをむすんだものですが」 人にものをあげるときによくつかう「つまらないものですが」のような意味で、
「お門(かど)が広おすのに」 おつき合いがたくさんあるのに、ご丁寧にお返しの品を頂き恐縮です。 のような意味で。

「よばれだちで、すんまへん」

ご馳走になってすぐに返る時に

贈物をもらった時に、「もらいずてで、すんまへん」

贈物をもらって返礼しないこと

京ことばの語用法(by 京都native 田淵篤さん)*7

「イ形容詞を強調する時に、その形容詞を二回繰り返す」ことがある *7
 用例: ex1. あんな高い高いとこにあるもん、とられへんやんか。
                (ごっつい高い)
        ex2. 蓋がきつぅきつぅ閉まってしもたさかい、往生したわ。
                (えらいきつぅ)
        ex3. 自転車なんかで行ったら、遅ぅ遅ぅなるで。

細かいことを言うと、繰り返しの最初の形容詞の活用語尾は比較的弱く 発音され、「たかたかい」「きつきつぅ」「おそおそぅ」のように聞こ えます。またアクセントは、単一で発話される時のものをそのまま繋げ た形になります。つまり「たかい」は「高-低」アクセントですが、 「たかぃたかい」になっても「高-低-高-低」となるようです。

 

京言葉によく見られる性質(by 京都native NONNYさん)*10

「ア行」「ハ行」「ワ行」の音の前に同じ段の音が来 た場合に、この「ア行」 「ハ行」「ワ行」の音がよく省略と言うことです。元々京言 葉はいろんなとこ ろをよく伸ばします。そして伸ばした音は「ア行」「ハ行」「ワ行 」の音に近 いため、この様になったのだと思われます。

具体例を挙げましょう
おかあはん おかぁはん おかはん
かわいらしい かぁいらしい かいらしい
ようせえへん よぉせぇへん よぉせん

次は関西弁には共通してあることですが、やはり京言葉にも欠かせない要素だと思い ます。

“手”や“目”のように一音からなる単語がいくつかあります。これらは標準語では 単に、“て”や“め”のように発音するだけですが、京言葉は、その ように味気なく終わってしまう語句を嫌いますので、これらは必ず中途半端に伸ばさ れます。

 
用 例
(手) て てぇ てぇだるい
(目) め めぇ めぇ疲れた
(気) き きぃ きぃ付けよしや
(胃) い いぃ いぃ痛い
(歯) は はぁ はぁとれた

 

京都弁考(1)(by 京都native 安田豊さん)*8

基本的に京都弁というのはなかなか一般関西弁と切り分けられないところが ありますね。典型的な京都弁と見做されているのは何故か芸者言葉だったり します。(ある意味では死語となった古語が芸者言葉に生きていたりします からね。)しかし芸者言葉は基本的に女言葉ですので、京都弁と見做されて いる多くの言葉が女言葉だったりします。

京都弁の特徴はやっぱりその音の丸さだと思います。やわらかい感じがする でしょう? また相手に対して悪いことを言う場合は語尾が伸びたりします。 「**しはるけどなあ、それはええことないのとちがうぅ?」などというわ けです。他県の人はこのあたりを「まだるっこしい」と思うのでしょうね。

 

京都弁考(2)(by 京都native NONNYさん)*10

京言葉は話していると、かったるいほどゆっくりしていますが、文字にして単語 単位で考えてみると、結構いろんなところを省略し た言語であることが伺えることでしょう。ではなぜ省略している言語がかったるくな るのか?その答えは、 単純に単語単位で考えているより、少し会話にしてみると分か りやすいかも知れません。

京会話は、「イ段」の音を嫌ったり、先の単音単語の部分でも述べたように、“きっ ぱり終わること”を極めて嫌うといった妙な傾向を持っています。 簡単なところでは

 
標準語
京言葉
〜です 〜どすなぁ
〜します 〜しますなぁ

 

などで代表されます。つまり単語単位では見えない、よけいな語句がいっぱいつくん です。このあたりが大阪弁とはまた異なる点です。大阪弁は結構語尾がはっきりしますから、結構短くてすみ、それが会話でも結構そのまま使われます。これらを単語単 位と、会話風について書き示します。

標準語
大阪風
京都風
乗っていますよ 乗ってまっせ
(乗ってんで)
乗ったはる
乗ったはる え
<京会話の中では>  乗ったはります え

標準語
大阪風
京都風
〜されているの? 〜してはんの?
(〜してんの?)
〜したはるの?
〜したはんの?
<京会話の中では>  〜したはりますのんか?

 

つまり極端な話、同じ関西人でも大阪人と京都人の会話では、“してんの?”と“し たはりますのんか?”の違いがあるわけだから、どうしても京会話を使えば、かったるくなってしまうわけです。

よく生粋の京言葉に対して、本来女言葉ではない語句まで女言葉であるように解 釈される語が多いようです。今現在生粋の京言葉を話す方が少なくなっているので、 どうしても舞妓はんたちのしゃべっている印象が強いのでしょうが、本来 ほとんどの 京言葉は男性の方でも変わりなく使われます。但し男性が生粋の京言葉を使っている と、現在では女っぽく聞こえてしまう(やさ男のようである) ことは紛れもない事実 でしょう。

この様な羞恥心から京言葉を話す男性が激減していることが、京言葉の衰 退を 進めている大きな原因であるのではないかと考えられます。


大阪風と京都風の違いについて(by 京都native NONNYさん)*10

これは多くの関西人が、薄々気付きながらもあんまり気にせずに使い分けている音の 違いなんですが、大阪風ではよく「イ段」の音を用いて使われるような語において、京都風では「ア段」で受ける場合が多くあります。

例を挙げましょう。
標準語
大阪風
京都風
行かれる 行きはる 行かはる
おっしゃる いいはる ゆわはる(いわはる)
〜される 〜しはる 〜しゃはる

大阪風において、もとから「イ段」で受け れないような物を、京都風で「ア段」 で受けたり。大阪風で「イ段」や「オ段」で受 ける物を、京都風では、「ア段」や「エ段」そして「ウ段」で受ける、と言ったようなものです。
標準語
大阪風
京都風
乗っておられる 乗ってはる 乗ったはる

             
<対応表にある例では>
標準語
大阪風
京都風
すごく〜 ごっつい〜 ごっつぅ〜 *
仲間にして よして よせて
そうですね そやなぁ
しやなぁ
せやなぁ
しぁなぁ

(*しかし本来京言葉ではほとんどの場合“えらい〜”を用いるでしょう)

このように、京都弁ははっきりしている「イ段」の音、という物を嫌う節があります。


標準語・京ことば対応表

 

標準語
京ことば
わたし 「うち」「あたし*8」「あて*9」
わたしたち 「あたしら*8」「あてら*9」
わたしのところ 「うっとこ」
あなた 「あんたはん」「おうち」「あんさん*3」「おたく*8」「おたくさん*8」
〜さん 「〜はん」
(用例:お姉さん→あねはん、お母さん→おかあはん)*8
そうですね 「そうどすなぁ」「そうどんなぁ」
そういわれましても 「そんなんいわはっても」
なぜ 「なんで」*3
なぜですか? 「なんでですのん?」「なんでどすぅ?*10」
〜です。 「〜どすぅ。」「〜どすえぇ。」(「おす」)*3
(用例:寒いですね→さぶおすなぁ、いいです→よろしおす)
〜ですか? 「〜どすぅ?」「〜どすかぁ?」*3
(用例:どうですか?→どうどす?)
〜でした 「〜どした」*3
〜して下さい 「〜しておくれやす(しとおくれやす)」
〜ません 「〜まへん」*3
できません 「できまへん」「できひん」「でけ(でき)しまへん*8」
だめです 「あかしまへん」*11
〜できません 「よう〜せん」「よう〜せえへん」「よう〜しいひん」*5
(用例:そんなこと、わたしできないわ→そんなん、うちようせぇへん)
補足 (by 北河内native 宮本さん)*12

「〜できません」を「私には〜する事が不可能です」という意味に取ると(つまり自分の意志とか立場という要素が入っている場合)

大阪弁 船場言葉 京ことば
「よう〜せえへん」 「できしまへん」 「でけしまへん」

単純に「ダメです」あるいは一般的に(誰であっても、あるいは物理的に)「不可能です」という意味に取ると、

「あきません」
「あきまへん」
「できまへん」 「あきまへん」

「し」が入るかどうかで意志の有無が判断できると思います。

 

標準語
京ことば
〜しなくては 「〜せな」「〜しいひんと」
〜しないでも 「〜らいでも」
だから 「そやさかい」「しやさかい*3」「せやさかい*3」
〜しておいて 「〜からに」
〜途中で、〜ついでに 「〜しなに」
〜しておきなさいね 「〜ときや」
〜しなさいよ 「〜よし」「〜しよ」
(用例:早くしなさい→はよしいよし)
〜ので 「〜さかい(に)」*3
(用例:できますので→できますさかいに)
でも 「そやけど」「せやけど」「しやけど*3」「そやかて*3」
そこまで 「そないに」
あのね 「あんなぁ〜」
そんな 「そないな」*3
どう 「どない」*3
(用例:どうですか?→どないどすか?、どうしよう→どないしょ)
どうですか 「どうえ」
いい(良い) 「ええ」*3
(用例:いい天気ですね→ええ天気どすなぁ
〜だなぁ 「〜やなぁ」(男言葉)、「〜やわぁ」(女言葉)*3
まぁ! 「いやぁ!」*3
(用例:まぁ、きれいな花だわ→いやぁ、きれいな花やわぁ)
ごめんね 「かんにんな(ぁ)」「かんにんしてな(ぁ)」*8
ごめんなさい 「かんにんしておくれやす」
しようがないですね 「しょうがおへんなぁ」
こまったなぁ 「なんぎやなぁ」
早くしなさい 「はよしいやぁ」
ありません 「おまへん」「あらへん」「あらしまへん*3」
ありがとう 「おおきに」
かまいません 「かまへん」
だめです 「あきまへん」「あかんえぇ*3」
開きません 「あきまへん*3」^^;
いらっしゃいませ 「おいでやす」「よぅおこしやしたなぁ」「おこしやすぅ〜*3」
おいしかったです 「おいしゅおした」
どういたしまして 「めっそうもない」
やめる 「やんぺ」
捨てる 「ほかす」(関西エリア全般)*4
(用例:これ、捨てておいてね→これ、ほかしといて)

おじゃまします・さようなら・ごめんください

「ごめんやす」
それでは 「ほな」「ほなら」「ほんなら」*3
さようなら 「(ほな)さいなら」
たくさん 「たんと」「ようけ」「ぎょうさん」  
かわいらしい 「かいらしい」
ださい、かっこわるい 「もっさい」
ほっとする 「ほっこりする」  
ばかばかしい 「よういわんわ」
暴利をむさぼる 「ぼったくる」---どうやら全国共通語らしいです
じょうずに 「あんじょう」
むちゃくちゃ 「わやくちゃ」
おいしくない、まずい 「あじない」
調子にのる 「いちびり」  
めんどくさい 「じゃんくさい」
めんどくさいなぁ 「たいぎやなぁ」*9  
じれったい 「しんきくさい」  
おちつきのない 「せわしない」  
品がない 「やすけない」
困る、いやだ 「かなん」
くらわす 「かます」  
居る 「いてる」
去る 「いぬ」
いじる、さわる 「いらう」
おかしい 「わらける」
いらっしゃい(おいで) 「おいない」  
寒い 「さぶい」
気持ち悪い 「きもい」 *6  
遊びにまぜてぇ 「よして、よして〜」*6
あし 「おみや」*9
(用例:あなた、私の足をふんづけていますよ→
あんさんのおみやがあてのの上にのったはりますわ)*9
おしり 「おいど」*11 (全国共通?)
からだ 「かだら」*10  
あそこ 「あこ」  
つきあたり 「どんつき」
ななめ 「はすかい」*11 (全国共通?)
けち 「しぶちん」
鳥肌 「さぶいぼ」
台所 「はしり」
おそうざい 「おばんさい」
おしんこ 「おこうこ」
醤油 「おしたじ」
お茶 「おぶ」
まんじゅう 「おまん」
せんべい 「おせん」
ゆでたまご 「にぬき」*2
「べべ」
座布団 「おざぶ」
最後 「べべ」「べべた*3」「べった*3」「べったこ*3」
注:「最後のページ」を「べべのぺーじ」とは言いませんです。*8
ごみ 「ごもく」*1
ごみ収集日 「ごもくの日」*1

 

*1 藤村哲(kek.jp)さんからの情報です
*2 斎藤純子(notredame.ac.jp)さんからの情報です
*3 清水たつじ(sony.co.jp)さんからの情報です
*4 大原碩司(sun.co.jp)さんからの情報です
*5 久保博(kyoto-u.ac.jp)さんからの情報です
*6 田中 大(u-tokyo.ac.jp)さんからの情報です
*7 田淵 篤(nec.co.jp)さんからの情報です
*8 安田 豊(kyoto-su.ac.jp)さんからの情報です
*9 足立 和子(nara-wu.ac.jp)さんからの情報です
*10 NONNY(kyoto-inet.or.jp)さんからの情報です
*11 中川俊幸(kyoto-u.ac.jp)さんからの情報です
*12 宮本直樹(jaeri.go.jp)さんからの情報です

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